以前、こちらの記事で、「睡眠時随伴症」について取り上げました。
睡眠時随伴症とは、眠っているのにもかかわらず歩き回ったり、叫んだりと、
何らかの異常行動を伴う睡眠障害です。
睡眠時随伴症にはいくつかのパターンがあり、
そのうちの1つが、レム睡眠行動障害です。
レム睡眠行動障害は睡眠時随伴症の中でも特に周囲への危険度が高く、
早期の対策・治療が必要なものですので、
より詳しく、ご紹介していきたいと思います。
レム睡眠行動障の具体的な症状例
簡単にレム睡眠行動障のおさらいをしておくと、
「レム睡眠時に見る夢の内容にしたがって、体が動いてしまう」という病気です。
たとえば、殴り合いをしている夢を見ていた場合、実際に体もパンチを繰り出してしまいます。
もしそれが一緒に寝ている家族を直撃したらひとたまりもありません。
無意識にやっていることなので、力の加減なんてできません。
他には、何か恐ろしいものから逃げている夢を見るとき、
現実世界でも走り出してしまう、というケースもあります。
もし走り出す方向が階段の方向だとしたら、全速力で階段を転げ落ちてしまうことになりかねません。
レム睡眠行動障害は50代以上の中年期・老年期の人に多い睡眠障害ですので、
自傷した場合の体への付加は計り知れません。
レム睡眠行動障害が危険だという理由はここにあります。
レム睡眠行動障と脳の異常
レム睡眠行動障害の原因は、はっきりとは分かっていませんが、
多くの患者が、脳神経に疾患があるそうです。
正常な脳は、夢を見ているときでもその行動を実際に行わないように制御をしていますが、
その制御が効かなくなり、現実世界でも行動してしまうのではないか、と考えられています。
レム睡眠行動障とパーキンソン病
パーキンソン病とは、人間の中脳からつくられるドーパミン神経の大半が死滅することによって、
体の制御が効かなくなり、筋肉の硬直や体の震えなどが起きる病気です。
研究によると、レム睡眠行動障害の患者が、このパーキンソン病に進行する割合が高いことがわかっています。
また逆に、パーキンソン病の初期症状として、レム睡眠行動障害が発症するという捉えかたもあります。
いずれにせよ、この2つの病気は密接な関係にあるようですので、
レム睡眠行動障害にご自身もしくはご家族が悩まされている場合、パーキンソン病に関する知識も必要になってくることでしょう。
症状が出たらまずは診察を
睡眠障害の中には生活改善だけでよくなるものもありますが、
重度のレム睡眠行動障害の場合、早めに医師の診察を受けましょう。
何か起きてしまってからでは遅いですので。